これは2年前のこと・・
「こんなものができた」
ある日、夫が左手を見せた。
ひらいた左手の人差し指の第二関節の上あたりに、黒くて小さな何かが、皮下にうっすら見える。シャープペンシルの芯の先っぽが折れて、皮膚の中に入り込んでしまったような感じだ。すごく小さいが上から触れるととても痛いという。
何科を受診するべきか一瞬迷ったが、皮膚科を受診することにした。
そして、その日のうちに診断が下った。
「グロームス腫瘍」
今ではすっかり我家の“おなじみ”になったその名だが、すらすら名前がでるようになるまでに、1ヵ月以上はかかった。で、そのグロームス腫瘍というもの、良性の腫瘍だが、痛みが特徴で、軽く触っても痛むが、当たり所が悪いと飛び上がるほどの激痛になる。 夫の場合皮膚の中に腫瘍ができているが、爪の下にできる人が多いそうだ。治療方法は外科的手術で取るしかない。痛みを我慢して放っておいても、少しづつ大きくなり、やむなく手術に踏みきるケースが多いようだ。
ただ、指を切り開いた画像を目にすると、夫の身を案じ弱腰になる。本人も「今じゃなくてもいいだろう」と消極的。
腫瘍ができた頃から、私たち夫婦はウォーキングを始めていた。不規則な生活をしていた夫は、私が誘ったのをきっかけに毎日6キロほど歩くことにした。
歩きながら時々腫瘍について語る。黒いものが徐々に大きくなっているという。腫瘍部分は何かに当たるととても痛むので、自然とかばうような手の動きになる。また、 冷たいものに触れると痛みが強くなると言う。グロムス腫瘍は冷えると痛みが増すのが特徴だそうだ。これから寒い季節がやってくるし、冬になったらどうしよう?ーそんな話をすると不穏な空気に包まれる。
ウォーキングをはじめてから、夫のお腹周りの脂肪は少しづつ減り始めた。そして、グロームス腫瘍についても、いつからか、あまり話題にしなくなっていた。そして、ちょうど100日(3ヵ月)がたった頃、指にあった黒い影が消えているのに気付いた。どこにもない。自然治癒したらしい。切除するしか方法はないと思い込んでいたので、驚きと同時に本当に嬉しかった。
ウォーキングとの関係はわからないが、良いように作用したのかな?と思っている。 もしかしたら、負荷をかけたのが良かったのかな?( ウォーキングでできること)
※グロムス腫瘍が消えてから2年が経過しているが、今のところまだ再発していない。どうして発症したのか、その原因もわからない。